小さい頃にお小遣いを握りしめ、買いに行ったあの店のあのお菓子。
なんとなく家にあった、近所のお菓子屋さんのお菓子。
我が家はこの店のお菓子しか食べません(笑)といった人もいるかもしれません。
雲仙市で生まれるお菓子を紹介する「なつかしお菓子」。
今や「かき氷」と言えば、県内でも1番に名前が出るほどの人気店の「狸山まんじゅう」。でも、このお店の看板商品といえば、お店の名前にもなっている『狸山まんじゅう』です。
こしあんの黒糖まんじゅうと芋あんが入り、店のシンボルマークのたぬきの焼き印が押された甘酒まんじゅうの2種類10個が昔ながらの包装紙に包まれて販売されています。
多い時で1日1700個を作るこのまんじゅうの歴史は、戦後までさかのぼります。店の初代は戦中、軍に下ろすお菓子を作る一流の和菓子職人でした。しかし、戦後すぐの時代は食材もすぐに手に入らない、そして店を開いた「狸山」という地域で売れるお菓子を、と「まんじゅう」を作り始めたといいます。
白黒10個で販売するスタイルは今も変わらず。しかし3代目の豊田康裕さんは、「見た目は変わりませんが、芋の甘さによって砂糖の配分を変えたり、細かい調合を変えたりして、常に今が一番最高の状態で出しています」と話します。
お店ではあの可愛らしいたぬきのシンボルマークを生み出した、2代目の女将さんも現役でお店を支えています。平日でもひっきりなしにお客さんが訪れ、常にまんじゅうを蒸すほど大忙し。
10個なんて一瞬でペロリ。またすぐに食べたくなる。そして狸山まで行かなければ手に入らない、それが「狸山まんじゅう」なのです。
豊田さんはいろんなお菓子作りに挑戦しながら、今日も、昔と変わらないまんじゅうの味を2代目の女将さんと共に守り、作り続けていきます。
狸山まんじゅう
- 住所:雲仙市国見町多比良戊1449-176
- 電話:0957-78-1546
- 営業時間:9時~売り切れるまで
- 定休日:火曜
Photo : BrightOn Fotography