お菓子は地域で守っていかなければならない

今回の「なつかしお菓子」でご紹介したとら巻の取材は、私の姿勢を見直すきっかけになった。

その1つに沖田さんが話した「お菓子は地域で守っていかなければならない」という言葉だ。

なつかしお菓子でも書いたが、沖田製菓舗さんは今、「どら焼き」の専門店のイメージが強い。市外のイベントにも積極的に参加し、どら焼きを販売している。そうなったのも、和菓子の需要が落ち、店の象徴であった「とら巻」の売り上げが落ちて、どのようにお店を守っていくかまで考えなくてはならなくなったからだという。

沖田さんは長崎カステラが、あの形、あの味で統一感をもたせることで、全国でも名の通るお菓子としてブランディングされている経緯を踏まえた上で、「島原半島はとら巻がたくさん作られている地域だけど、売れないからと辞めてしまうところも多い。でもなくなってしまってからでは復活はできない」。だからとら巻と同じ材料でできるどら焼きを作って、とら巻を守ろうとしている。

今回「とら巻」を紹介してよかったと思うと同時に、もしかすると「とら巻」は貴重な存在になっているのかもしれないと思った。

沖田さんのような例は雲仙市の別のお菓子屋さんでも見られる。みなさんそれぞれに、店やその店のアイデンティティともいえるお菓子を守るため、もがいて頑張っているのだ。そうやって方向転換する店はまだいい。雲仙市には跡継ぎがいない、売れない、という理由で今にもなくなりそうなお菓子がまだまだたくさんあるように思う。

もう一点、「同じことがこのウェブマガジンにもいえる」と思った。

沖田さんからは「あなたはどのようにして、このウェブマガジンを継続していくの?」と常に問われているように感じた。

そう。雲仙市出身の市外、県外で頑張っている人に見てもらいたいと思っていても、現実として、メディアとして生き抜く姿勢をこのウェブサイトでも示していかないと、「雲仙市に戻りたい」とは誰も思わないし、何も魅力を感じないと思う。

せっかく協力してくれた、前回の佐藤さんや今回の沖田さんの想いを多くの人につないでいくため、私もみなさんと同じようにもがいていこうと思う。

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