小さい頃にお小遣いを握りしめ、買いに行ったあの店のあのお菓子。
なんとなく家にあった、近所のお菓子屋さんのお菓子。
我が家はこの店のお菓子しか食べません(笑)といった人もいるかもしれません。
雲仙市で生まれるお菓子を紹介する「なつかしお菓子」。
雲仙市千々石町にある大正元年創業の沖田製菓舗。今は多種多様などら焼きで有名なお店だけど、このお店のお菓子といえば「とら巻」という人も多いと思います。
羊羹に近いしっとりとしたこしあんをふわふわ縦縞の生地で包んだお菓子です。あんこは水分が多めなので、甘さが控えめであっさり食べやすいのが特徴。千々石町生まれの母に「懐かしいお菓子は?」と聞くと、決まって「沖田のとら巻」と言います。口に入れた瞬間に小さい頃のことや千々石で過ごした日々を思い出すんだとか。
4代目の沖田慎太郎さんに話を伺うと、以前は上生菓子も作っていたそうですが、今はとら巻とどら焼きに絞って販売をしているそうです。沖田さんは「とら巻は沖田のアイデンティティ。とら巻を作り続けていくために、みんなにもわかりやすくて、同じ材料でできるどら焼きを作っています」と話します。
今は以前ほど、とら巻は売れなくなりました。沖田さんはこれからも以前より半分の大きさにしたとら巻の販売を続けていくそうです。沖田製菓舗のとら巻を知っている人は、最近のとら巻を見たら少しびっくりするかもしれません。でも、沖田さんが守ろうとしているのは、ときどき恋しくなるこの変わらない「味」なんだと思いました。
2022年は寅年。とら巻の年です! 私もとら巻を食べて縁起を担ぎたいと思います。
沖田製菓舗
- 住所:雲仙市千々石町甲173-5
- 電話:0957-37-2065
- 営業時間:10時〜17時
- 定休日:水曜・日曜
Photo : BrightOn Fotography